2015年 09月 27日
家族じゃない |
告別式
そして彼の肉体は消え
会食を行った
全てが終わり
控え室を後にし
ロビーへ行った
親友君と一番の親友君夫婦は「そろそろ僕達も」と、その場を離れた。
みんな外へ出た。
その時、お母さんに手招きされて呼ばれた
お母さんは珍しく1人だった(それまでは、姉妹の誰かしらが必ずついていたので)
そして私に言った。
「後は家族だけでやるから。もう帰って」と。
とても、冷たい言い方だった
でも、そんな冷たい言い方よりも
【家族だけでやるから】
その言葉に私は堪らない気持ちになった
そんなの・・・わかっていた
結婚するつもりでも、していたわけじゃない
私は家族じゃない
他人なのだ。何の関係もない他人。
ちゃんとわかっていた
でも.改めて面と向かって言われて
本当に堪らなく悲しかった
他人の私は、これ以上彼の傍にはいられないんだと。
お母さんは、そう言い私から離れた
涙が一気に溢れそうになったのを堪え
お母さんの後ろ姿に言った。
「わかってます。でも、最後まで見送らせて下さい」と。
お母さんの返事は、なかった。
そのまま姉妹達と車の方へ移動してしまった
お父さんは最後までバタバタ忙しそうに動いていた
そのお父さんに声をかけた
「ここで帰らせて頂きます。でも、最後まで見送りさせて下さい」と。
お父さんは
「ありがとう。いつでもおいで。また連絡してね」
そう言ってちょっびり笑い、車に乗り込んだ
よしが、いつも運転していた
あの大好きな車に。
既にお母さんは彼を抱え助手席に座っていた。
私はお辞儀をした
と、同時に車はスタートした
彼の・・・車を先頭に4台の車が動き出した
私は、彼の乗った車を見えなくなるまで見ていた
いつも彼が私を家まで送り、家の前で私をおろしてくれて、彼の車が見えなくなるまで見送っていたように
彼の車・・・彼が見えなくなるまで小さく手を振り
「またね」そう呟いた
その途端、寂しさと悲しさと・・・彼を連れて行かれてしまったような悔しさも混じり涙がこぼれた
そして思ったんだ
「ひとりになっちゃった」って。
暫く彼が行ってしまったところを眺めていた
ふと気づくと少し後ろに
あの葬儀屋さんが立っていた
私はお辞儀をしながら近付き
「本当に色々ありがとうございました」と伝えた。
葬儀屋さんは、ちょっびり笑い
そして真面目な顔になり言った
「まだ暫くバタバタすると思います。暫くご親戚の方達もいらっしゃると思いますが、皆さんお帰りになり、落ち着くと途端に、おふたりとも寂しくお辛くなると思いますので、どうかお力になってあげて下さい」と。
頭の芯が急に冷たくなるような
そんな感じがした
そして思った
寂しかったり悲しかったり辛かったり
そんな思いで耐えられなくても
お母さんには、お父さんがいる
お父さんには、お母さんがいる
支えあえる相手がいるじゃない
彼の事を話したくなれば
同じように彼の事をわかっている相手がいる
彼の代わりは勿論いないけれど
支えあえる相手がいる
寂しさ辛さを吐き出せる相手がいる
私には、そんな全ての相手が彼だった
ご両親を助けてあげて?
ご両親の力になってあげて?
そんなの、そんなの出来ないよ!
私だって、どうしようもないのに・・・
そう思った。
それでも葬儀屋さんには感謝でいっぱいだった
小さく「はい」と答え。
「本当にありがとうございました」
そう伝えて、もう一度ロビーへ戻った。
色々な想いに押し潰されそうだった
少しゆっくりと冷静になろう
そう思った
by yoshi721chii
| 2015-09-27 21:33
| 後悔の日