2015年 06月 04日
彼のお母さん |
彼のお母さんは、お父さんよりも10歳年上なので、70代後半。
元々持病…筋肉が衰えていく病気…パーキンソン病を数年前に発症していた。
薬を飲めば動ける。なので日中は普通に元気に過ごせてる時が多かった。
ただ薬を飲み続けてるわけもいかないので薬が切れる夜は筋肉が固まり動けない為、お父さんが常に面倒をみていた。
だけど、そんな状態は本当に深夜だけで普段は元気なお母さんだった。
明るくてサッパリしてる印象が強かった。
でも、本当に彼が大好きで大好きで仕方ない
彼にベッタリな・・・
彼に、かなり依存していた。
でも、だからと言って私に敵対するような事もなかったので、そこは、ちょっぴり安心していた。
本当に彼が可愛くて仕方ないのが、すぐにわかった。
彼の為なら何でもしてあげたい、そんな思いから、頻繁に彼の所へ来て色々しようとする。
それが彼にとっては、かなりの苦痛だったのだ。
ひとりでいたい。そっとしておいてほしい。
そんな彼には、お母さんの存在は・・・
会う度に、お母さんへの文句がまず出る
本当に嫌だ、うざい、疲れる
いやいや、私にキレないでよ~っ!と言うぐらい、かなりキレて文句言っていました。
でも、お母さんに直接文句は言えなかったんです。彼。
お母さんの辛かった過去を知ってるから・・・。
付き合ってすぐ彼から聞きました
お母さんはバツイチで子供(男の子)がいた事。
そのお子さんと悲しい別れをして苦しんでいた事
(彼も同じ運命を辿ってしまいました・・・)
「母さん、本当大変だったんだ。苦労したんだ」と。
だから尚更、彼に依存していた
そんな、お母さんの気持ちがわかるから彼は何も言えなかった
でも、彼は心では、いつも「そっとしておいてくれよ!勘弁してくれよ!」そう叫んでいたんです。
そんなお母さんの文句を言ってる彼は、怒りの中に、どうしようもない苛立ちを抱えていた
もう本当に嫌だ・・・泣きそうな顔をしていた時もあった。
そんな彼を見ているのが辛かった。
そして、彼は子供の頃からの夢【映画関係の仕事】を、諦めたのも・・・お母さんが原因・・・だった。
その仕事の為には大阪にある大学に行く事になる。
学校からの推薦も決まり行けるはずだった。
だけど、お母さんは反対した。
そんな遠くに行かせない!離れたくない。と・・・。
学校の先生も彼の思いわかっていたので何度も説得に来てくれたそうで・・・。
でも、お母さんは反対した。
そして、よしは夢を諦めた。
その事を、よしは、ずっとずっと後悔していた。
あの人の事、振り切ってでも、捨ててでも行くべきだったと。
よしは、お母さんが過去の事から余計に自分に依存してる事、わかってた。
そんなお母さんを見捨てる事なんて、よしには出来ない・・・出来なかった・・・それが、よしって人間。
私が誰よりも大切で大好きな彼は、そんな人。
彼は、お母さんに、本当に困らされていた
お母さんの事で、沢山苦しんでいた
そんな彼を身近で沢山見てきた
最後の最期まで、夢を諦めた事後悔していた
それだって、お母さんの存在があったから
お母さんが最近、痴呆の症状みたいに出てきてる
持病も悪化してきているような気がする
そんな風に心配して眠れなくなっていた
そして・・・
いつも面倒を見ているお父さんが泊まりで出かけ、彼がひとりでお母さんの面倒を夜、付きっきりで見た
そんなあの日から、彼は、おかしかった・・・
彼の苦しみには、お母さんがかなり関わっていた
そんな風にずっとずっと苦しんでいた彼
そんな風に彼を苦しめていた
そんな、お母さんを私は正直・・・許せない。
憎しみさえ、ある。
でも、お母さんがいなければ彼は存在していない。
彼を産み、育ててくれた事には本当に感謝している。
大切な存在。
だけど・・・私は許せない。
彼は、私がお母さんと仲良くしてると本当に嬉しそうに「仲良いよね~。母さん、本当にちいの事好きなんだね」と、言って笑ってた。
そんな風に喜んでくれる彼を見て私は本当に嬉しかった。
お母さんは、私にも本当によくしてくれた。
本当は女の子が欲しかったのよ~!と、私が遊びに行く度くっついてきた。
正直嬉しかった。
でも、彼に、いつも聞かされたり苦しむ姿見てきてたから・・・いつだって私は複雑だった。
彼も、本当に複雑な思いだったんだろうな・・・
彼が旅立ってしまった今
より一層、そんな複雑な思いがある
大切な存在だけど・・・
やっぱり私は、お母さんを許せない
お母さんがいなかったら・・・
もしかしたら彼は・・・
そう、思わずに・・・いられない。
by yoshi721chii
| 2015-06-04 23:37
| 彼の事